一*爽やかな季節の中、想いは募る

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 土井先輩──土井友和、高校三年生。  わたしの二個上。  わたしはこの四月から公立千川原(ちがわら)高等学校の生徒になった。  土井先輩とは入学式の後に引き続き行われた生徒会主催の歓迎会で初めて会った。  体育館を半分に分け、○ゾーンと×ゾーンに分けていて、該当すると思うゾーンに行く、という形式のクイズをわたしたち新入生がいち早くこの高校のことを理解できるようにと生徒会の人たちが考えてくれていて、運良くわたしは残っていたのだ。  そしてラストの問題だったと思う。  残っているのはわたしを含めて四・五人。  文化部と運動部では文化部の方が数が多い、○か×か。  そんな質問に×ゾーンにいたわたしは迷わず○ゾーンに向かった。  しかし。  緊張のあまり、わたしは○ゾーン手前の部分で派手に転んでしまったのだ。  そしてそこで移動時間が終了となり、わたし一人×ゾーンに残ってしまい、不正解。  恥ずかしいやらみっともないやら、悔しい気持ちもあって、なかなか立ち上がることができなかった。  そんなかっこ悪いところにだれかが近寄ってきて、わたしを立たせてくれたのだ。
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