四*練習試合

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「じゃあまた、巡のクロッキー帳を全部、使い切ってやるんだから」 「おー。そうしてくれ。奏乃、おまえは絵を描いているときが一番、楽しそうだ」  昨日はもう、絵を二度と描きたくないとまで思ったのに、巡はそんなことを言ってくれる。  お礼を言いたかったけど、激しく照れくさくてなにも言えなくなる。 「昼を食べたら、どれにするか決めよう」 「……うん」  さー、飯だ! と言いながら巡はクロッキー帳をわたしに渡してきた。  ありがたく受け取り、胸に抱える。  巡は本当にいつも、こうやってさりげなくわたしを助けてくれる。  それがどうしてだなんて、そのときのわたしは考えも及ばなかった。
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