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「……巡?」
クロッキー帳の行方を巡は知っているのだろうか。
「なにか、知ってる──の?」
「なんでもない。あの日、絵のことにばかり気をとられていたオレの不手際だ」
「ねえ、巡!」
巡は真相を知っているのかもしれない。
わたしは巡に向かって一歩踏み出し、見上げた。
しかし巡は顔を背けたままだ。
近づいたと思っても、こうやってふとしたとき、突き放される。
巡の真意はやっぱり、つかめない。
その後、わたしたちは無言でお昼を食べた。
巡がくれた真新しいクロッキー帳に名前を書き、開く。
久しぶりにサッカー部の人たちを棒人間にしていく。
そんな夏休み最後の日──。
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