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それから文化祭に向けて、忙しくなってきた。
自分の作品もあげなくてはいけなかったし、クラスでする催しも役割分担をさせられていたので、やらなくてはならなかった。
作品はどうにかぎりぎりで間に合い、美術部員の人たちと一緒に指定されたところに飾りに行く。
巡はクラスの準備で忙しいらしく、最近は美術部に顔を出してこない。
「えーっと、皆本くんの絵は……ああ、サイズがかなり大きいからここね」
長谷川部長の指示の元、壁に貼られた方眼紙に鉛筆で印をつけながら作品を飾っていく。
巡の作品を残して、全員の絵が飾られた。
「皆本くんのは自分でやるって言っていたから、ここだって分かりやすいように書いておきましょうか」
部長はそういうと、鉛筆で「皆本専用」とでかでかと書いておいた。
それがおかしくて、つい笑ってしまう。
「下瀬さん、皆本くんに会う予定は?」
ここ数日、行きも帰りも会うことがない。普段から一緒に帰るという約束をしているわけではない。
「会わないと思いますけど」
「そう。ま、分かるでしょ」
わたしたちはもう一度、展示された作品を遠くから見て、バランスを確認してから解散した。
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