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「これ着て、これつけて給仕してくれよなっ!」
家からそれぞれがエプロンを持ってくることと言われていたのに、渡されたのは……。
「なにこれ?」
布きれを広げると、男子は見て分かることを口にする。
「エプロン」
「エプロンは分かるよ! こっちのことを聞いてるのよ!」
「カチューシャ」
わたしは思わず、眉間にしわを寄せる。
エプロンもどこから調達してきたのか、やたらにレースのついた白いもの。
それに合わせるかのように、白いカチューシャ。
「どうしたのよ、これ」
「うちのねーちゃんから借りてきた」
意味が分からない。
「だから、家からエプロンは持ってこなくていいからな!」
というなり、わたしにエプロンを押しつけて、男子たちは去って行った。
……ちょっと待って。
どうしてこんなにかわいらしいエプロンをつけないといけないわけ?
もしかして、このエプロンのせいでローテーション表に名前が埋まってなかったの?
なんだかはめられたような気がしたけど、返すにも返せなくて、わたしは仕方なく、かばんにしまう。
これ以上、この場にいたらなんだかとんでもないことに巻き込まれそうで、早々に退散することにした。
わたしは半ば、逃げるようにして学校を後にして、家に帰った。
いつもだったら巡がついてくるのに、ここ数日、巡がいない。
なんだか物足りなさを感じながら、家に帰った。
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