五*文化祭

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「やっぱり、一番に見に来たんだ」  巡に声を掛けられ、驚いて飛び上がる。 「どうだ?」 「──びっくりした」 「実物より美人だろ?」  そういって、巡はかぐや姫を指さす。 「これって」 「奏乃にモデルになってもらっただろう?」  ああ、それで下を向いて視線は前を見ろって──。 「ちょっと待って。今、すっごく失礼なことを言わなかった?」 「失礼ではないだろ。事実だ」  童顔なわたしがモデルとは思えないほど、かぐや姫は美人に描かれている。  反論出来ない。  わたしは無言でその場を離れた。  巡は当たり前のようについてくる。  ふと時計を見ると、一回目の喫茶室の時間だった。 「わたし、クラスの用事があるから!」  巡にそれだけ告げると、四階の教室に駆け上がる。  バックヤードに入り、自分の荷物を探し出してエプロンをつける。  カチューシャをつけることに躊躇しつつそっと表をのぞき見ると、給仕している女の子全員がつけていた。  お客さんもそこそこ入っていて、いいスタートを切っているようだ。  カチューシャをつけて、思い切って表に出る。 「じゃあ、交代、よろしくね」  戸惑いつつ、交代する。
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