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「思ったより出てるから、追加で買いだしに行かないとなくなっちゃうわね」
なんて裏で話をしている。
「じゃあ、おれが行ってくる」
「うん、よろしくね」
わたしが次に担当する時間は、文化祭が終わる一時間前。
それまでにどこかで体力を回復しよう。
エプロンを取り、かばんに詰め込んで美術室に避難することにした。
「あ、下瀬さん」
バックヤードから出ようとしたら、声を掛けられた。
「人手が足りないから、手伝ってくれない?」
あの人のすごさを知っているだけに、嫌だなんて言えない。
「お昼を食べたら戻ってくるで……いいかな?」
少し休憩を入れないと、ばててしまう。
「あ、ほんと。助かった。それでいいよ。じゃあ、よろしくね」
にっこりと微笑まれ、やっぱり嫌なんて言えない。
ぐったりとしながら美術室へ向かい、少し時間は早いけど、端っこでお昼を広げて食べる。
なんであんなに賑わっているのだろう、そんなことを思いながら、わたしはお昼ご飯を食べた。
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