六*授賞式

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 雪がちらつきだして、暑かった夏のことを思い出せない頃。  夏休みに出した絵画コンクールの結果が返ってきた。  いつものようにクラブ活動を終えて家に帰ると、わたし宛てに封書が届いていた。  いぶかしく思いながら裏を返すと、覚えのないところからだった。  なんだろうと疑問に思いながら封を切って中を取り出す。 「え……?」  しばらく、書かれていることを理解するのに時間がかかった。 「お……お母さん」  夕食の支度をしているお母さんに戸惑った表情を向け、中に入っていた紙を渡す。 「なあに?」  野菜を切っていた手を止めて、タオルで手を拭いて手紙を受け取る。 「まあ、すごいじゃない!」  いぶかしげな表情が一転して、お母さんは笑顔になる。 「これってあれでしょ、夏休みの時に描いた絵」 「……うん」  巡の助けを借りてどうにか仕上げて出した、土井先輩がドリブルしているのを巡がスライディングをしている絵。 「お父さんにも報告しないとね」  そうだ。  あの絵を描いた本来の目的を思い出した。  お父さんが飯の種にもならない無駄なことに入れ込んでと怒っていたという話を巡にしたら、妙な闘志を燃やしてわたしをたきつけたのだ。  絵を切り裂かれたことによって忘れていたけど、無駄ではないということを示すためだったのだ。 「ふふっ、今日はお祝いね」  なんてお父さんが帰ってくるまではうれしい気分だったのに……。
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