六*授賞式

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 巡に言われるまま、制服に着替える。  耳を澄ましていると、篠原先生の声が聞こえる。  だけどなんと言っているのかはよく聞き取れない。 「ダメだ!」  お父さんのはっきりとした声が聞こえてきた。  わたしは思わず、首をすくめる。  どうしてお父さんはあんなにもかたくなにダメだと言うのだろうか。  制服に着替え、サブバッグにお財布を入れて、恐る恐る、部屋の外に出る。 「奏乃!」  巡がわたしの名前を呼ぶ。 「早く行け!」  狭い廊下。  お父さんが立ちふさがるように立っていたところ、巡がお父さんを壁に追いやり、一人ほど通り抜けられるようにしてくれた。 「おまえはなんだ!」  巡とは面識がないお父さんは面喰らい、戸惑っている。 「ほら、今のうちに!」  巡が身体を張って、わたしに早く行けと言ってくれている。  篠原先生もわたしに向かって手を伸ばしている。  お母さんを見ると、大きくうなずいた。 「いってらっしゃい」  お母さんは見送ってくれる。  それに対してお父さんは、 「奏乃、行くな!」  とわたしが行くことを止めようとしている。
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