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授賞式は滞りなく行われ、わたしは特別賞というものをいただいた。
金賞と銀賞を受賞した絵を見せてもらったけど、段違いの出来映えだった。
その絵を描いた二人とも少しだけ話をしたけど、絵を描くことにプライドを持っていて、それでいてきらきらと輝いていてまぶしかった。
篠原先生と巡は並んで部屋の端っこで見守ってくれていた。
二人は親しそうに笑いながらなにかを会話している。
それを見て、もしかして……なんて考えがよぎったけど、まさかと思ってすぐに否定した。
授賞式が終わったらお昼で、篠原先生がお祝いよ、他の人には内緒ねと言って、お昼ご飯をごちそうしてくれた。
篠原先生の話は面白くて、それに対して巡は容赦なくツッコミを入れるものだから、わたしは終始、笑いっぱなしだった。
お昼を食べて、篠原先生はもう少し用事があるからここでお別れだけど、と言いながら家までの交通費まで出してくれた。
賞状とトロフィーは荷物になるからと授賞式の後、すぐに宅配便で学校に送るようにしてくれた。
篠原先生になにからなにまでお世話になってしまった。
帰りは巡と二人きり。
一人だったら心細くて仕方がなかっただろうけど、巡がいてくれるだけでずいぶんと気持ちが違う。
「ほら、奏乃」
半歩前に立っている巡は少し振り返り、わたしに手を差し出してきた。
「……なに?」
「人が多いから、迷子になるだろ」
「だっ、大丈夫だよ! 子どもじゃな……きゃっ。ごっ、ごめんなさいっ」
大丈夫と言っている端から、人にぶつかってしまった。
ぶつかった人はむっとした表情をわたしに向け、無言で去って行った。
「ほら。またぶつかるぞ」
慣れない人混みに、素直に巡の手を握る。
持っていたサブバッグも持ってくれた。
思っている以上に大きくて温かい手。
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