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「ちっくしょぉぉぉ!!何で俺まで巻き込まれるんだよぉぉぉ!!」
俺は夕焼けの色に染まった空の下を懸命に走る。
俺の名前は斬裂 刄(きりさき・やいば)
俺の後ろには不良の大群が俺を捕まえようと、手を伸ばしながら押し寄せて来ている。
そうなってしまったのも全ては隣を走る哀川のせいだ。
フルネームは哀川 舅(あいかわ・しゅうと)
元不良仲間のバカ野郎なのだが、コイツときたらふざけていやがる。
適当にその辺をぶらついている時に不良に呼び止められ、自分の能力についてとやかく言われたから、という理由だけで喧嘩を吹っ掛けやがった。
今となってはこの通り。
後ろには数えきれないほどの不良の山だ。
誰かなんとかしてくれ。
そんな言葉を聞くと皆
「自分の力で何とかしやがれ」
とか言いそうだが、そんなのは論外。
まずはこの状況を理解してから言いやがれ。
それに例え人が少ないにしてもやる気にはなれない。
元々は俺も不良仲間だったわけだから奴らがどんな事を考えているか分かるってもんだ。
俺らが力の一つや二つ使えば、仲間を一気に呼ぶに違いない。
不良ってのは常に集団だからな。
それに俺はあの日から誰であっても傷付けないと決めたから。
あんな目に遭うのは真っ平ごめんだ。
嫌な目に遭わないために俺は後ろから追ってくる不良共から逃げる。
街を歩く学生や社会人何ぞ関係ない。
邪魔する者は全て払いのけ、道を横切る監視ロボを跨いで避け、表通りと裏路地を縫うように掛けていく。
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