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眠さと不機嫌さMAXで僕の双子の弟、亮は全然起きる気がない。
『今日はいつもとちゃうねんてぇ!新しいペンションがオープンする日なんやから!』
僕がそう言うても目を閉じたまま。
毎度の事やけど、どうして双子やのにこうも寝起きに差が出るんやろか。
途方に暮れていると、バタバタと階段をかけ上がる音がして、まもなく1人のでかい子が現れた。
『章ちゃんおはよっ!』
『あ!うっちーおはよっ。』
うっちーは近所に住む中学生で、時々、うちのペンションでお手伝いをしてくれている。
今年の春まで僕と亮も通っていた中学で、一緒に軽音部に所属していた。
すらっと背が高くて、綺麗な顔でいつもにこにこ笑うとるうっちーは女子からも男子からも人気者なんやで。
『亮が全然起きひんくてー。』
『…起きとるわ、ぼけ。』
『えっ?』
振り向くと、亮が上半身をベッドの上に起こしていた。
『亮ちゃんおはよっ!』
うっちーがにっこり亮に笑いかけた。
『…はよ。』
亮は照れたような表情を浮かべて、それを隠すように裸だった上半身に白のタンクトップを身に付けた。
何故か亮はうっちーが来ると決まって寝起きがよくなる。
ま、起こすのに一苦労な僕には有り難い事なんやけど。
『じゃ、朝ごはん食べに行こか。』
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