238人が本棚に入れています
本棚に追加
『今日はうっちーのおかげで時間短縮出来たんやな(笑)』
僕の顔を見て、裕にぃは片方の口角だけ上げて笑った。
僕は眉毛を八の字にして笑い返した。
『さ、ごはん食べるで。うっちーはごはん食べたん?』
『うん、食べてきた。』
『せやったら、野菜ジュース飲むか?』
『飲む~!』
勝手知ったるうっちーは戸棚からコップを取り出して、裕にぃに渡した。
裕にぃ特製の野菜ジュースはペンションのお客さんにも出していて、好評なんやで。
『裕にぃ?』
『ん?』
『ヒナちゃんとすばるくんはいつ来るん?』
ヒナちゃんとすばるくん言うんは、大阪に居た頃近所に住んでいた幼なじみ。
ヒナちゃんは春から大学生で、すばるくんは古着屋さんで働き始めたって言うてた。
『ヒナはもう少し後みたいやけど、すばるは今日来るで。』
2人は高校生やった去年の夏休みと冬休み、うちのペンションに手伝いに来てくれていた。
『すばるくん今日来るん?!』
ギターのメンテナンスしとかなっ!
『章大?ギターは後。今日からまた急がしなるんやから。』
『…おん。』
大阪に居った頃、2人でバンドの真似ごとみたいなんをやっとったんよ。
すばるくんはめっちゃ歌が上手くて、いろんなトコからお誘いがあったみたいやけど、どれにも応じてへんかった。
久々にすばるくんとセッション出来るーってうきうきした僕の心を裕にぃは見透かしたみたい。
最初のコメントを投稿しよう!