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  私には14歳までの記憶が無い。 どうして記憶をなくしてしまったのかも解らない。 ただ、私に解るのは自分の名前ぐらいだ。 親は居ない。どうやら私は孤児院で育ったが、今は自立し一人暮らしをしているらしい。 友人の、枸杞がそう教えてくれた。   「ジェシカ、もうすぐ着くよ。」 「…あ、うん、解った。」   今、私は枸杞とサイレントヒルに旅行しに来ている。 騒がしい日常から一時的に逃避するために。 学校は嫌いだ、皆自分のことしか頭にないから平気で人を傷付けることもいとわない。自分の心の平和のために、孤独になりたくないから、集団になって個人を潰そうともする。 そんな光景を見たり体験するのも嫌気が差していた。   そんな夏を過ごし、秋頃に長期休みが始まった。 枸杞が私を旅行に誘ったのがその時だった。   「サイレントヒルは静かでいいところよ。トルーカ湖がおすすめね。」 「そうなんだ、それなら心身ともに休まりそう。」   そんな会話をしていた時だった。   次第に霧が濃くなり、車窓一面が真っ白になるほど酷い。 それに気付いた私は、枸杞を振り返り大丈夫だろうかと聞こうとしたけれど、答えを聞くことは出来なかった。   視界が回転する。 悲鳴が上がり、私の意識はブラックアウトした。
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