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  「…ひ……っ…!」   思わず悲鳴が溢れてしまう。 膿んだような酷い生臭さに吐き気が募り、口元を抑えながら、私はその場から逃げた。 怪物は私に気付いたのか追ってきている。   追い付かれてしまったら私はあの怪物に食われてしまうのだろうか。 それを思うと怖くて仕方なかった。 ああ、枸杞は無事だろうか。   「…………っ!」   道無き道をひたすら走り抜けて、突き当たった場所は行き止まり。 もう駄目かもしれない、そう半ば絶望しかけていた時だった。 洞穴になりかけたような中途半端な壁穴の中に、ピストルが。   「ウァアァアアアアァアァァア…」   男性と女性が断末魔を上げたような奇妙な叫び声をあげて怪物が来る、やって来る。   迷っている暇はなかった。 安全装置を外し、トリガーに指を掛けて、怪物の頭らしき部分に数発。 こういうやり方で銃を扱うのは初めてだったから、足が震えそうになる。反動で後ろに下がり、それでも怪物から眼を離さずに私は撃ち続けた。   ―カチッ、カチカチ   ああ、弾丸が。   (もう駄目だ食べられてしまう)   私はその場にしゃがみこんだ。   「う…うう……っ。」   怖くて眼をつむる。   しかし真っ暗闇のなか、どさっ、と倒れる音がした。 恐る恐る瞼を開けると、怪物が血を流して倒れていた。   「は、っ…はぁ。…は…。」
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