赤い溝 DRESS

2/5
前へ
/26ページ
次へ
監視カメラが確認できたが、表面効果を解いた私たちに反応することもないので、男の言ったとおり偽装データの送信がうまくいってるのだろう さっきの気配の主は本当に何だったのか 確かに何か通ったのだ しかし今は 5時まで後、20分しかない 魔法陣の展開はシェルターのレベル2を封鎖する壁の表面 急がなければ 私たちはシェルター内を進んだ 少し歩くと、何か向こうから来るのが見えた シェルター内の赤茶色い照明に段々と姿がハッキリしてくる あれが話に聞いた生態サンプルというやつだろう 人の形をしたそれに、何か羽のようなものが生えている 文章にすればまるで天使を彷彿とさせるが、決してそんな神々しいものではない 泥を固めて作った人型に血管が通ったような、そんなおぞましい姿をしていた 「出番だ!うまくやれよ時間がない!」 私は後ろにいた男に言う 男はその異形にたじろいだ顔をしていたが、私の声にキッと表情を鋭くして 前へと出た 「それじゃぁ行きます!」 気合いを入れるように声を出して、手に持ったぬいぐるみを前へと突き出す
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加