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「切り裂け!」
男の声が響く
熊の獣人は驚くほど器用な動きで槍を振り回すと、一歩踏み込んで化け物の腹を深く切り裂いた
「ガギャッ」
叫びがあがるが、血が吹き出すこともなく、先程と同じように化け物はむかってくる
「品川さん!」
男が私に助けを求める
別に言われなくても分かってる
私は黒いリップスティックを取り出すと、壁に一気に魔法陣を描いた
黒いリップの色は最高濃度のトワの血がふんだん練り込まれていることを示す
「熱、威力5」
簡単に魔法陣の説明をすると、すぐさま槍の切っ先がやってきた
槍の先端で触れた魔法陣は、まるで吸い込まれるように消えた
間髪入れず獣人は手を動かすと、勢いよく化け物の頭部を切断した
床に転がり落ちた、泥団子にも似たその首は、切り口からボッと火がついて瞬く間に炎に包まれた
立った体制のまま固まっていた体も、炎によって崩れ落ちる
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