赤い溝 TUXEDO

1/7
前へ
/26ページ
次へ

赤い溝 TUXEDO

さっきの硬化の魔法陣、今使うとはさすが品川さん 機転がきく 俺は感心しながらスタスタと進む品川さんを急いで追う 俺が進むと、熊のアレクサンドラもついてくる 少し後ろを振り返ってみると キッと凛々しい目で、俺についてきている 可愛い! 熊はいいなぁ! 状況を忘れて、しばし感慨に浸る 「ぐうあぁぁ」 吐き気に苦しむような、酷い声に我に帰る はっとして前を見れば、先程とは違う形のそれがこちらに迫っていた 品川さんはいつの間にか俺の後方で立ち止まっていた 俺はグッと足を踏み込んで立ち止まる 俺の指示により、熊は振り返りつつ、既に完成していた硬化の魔法陣を槍に受け取り、そのまま向き直る勢いで化け物の腹を切り裂いた 腹は爆ぜた柘榴の実のように割れ、そこから魔法は侵食していく 「コカァァ……」 呼吸器が硬直したためか、空気を搾り出すような音がそれの口からもれる
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加