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赤い溝 TUXEDO
さっきの硬化の魔法陣、今使うとはさすが品川さん
機転がきく
俺は感心しながらスタスタと進む品川さんを急いで追う
俺が進むと、熊のアレクサンドラもついてくる
少し後ろを振り返ってみると
キッと凛々しい目で、俺についてきている
可愛い!
熊はいいなぁ!
状況を忘れて、しばし感慨に浸る
「ぐうあぁぁ」
吐き気に苦しむような、酷い声に我に帰る
はっとして前を見れば、先程とは違う形のそれがこちらに迫っていた
品川さんはいつの間にか俺の後方で立ち止まっていた
俺はグッと足を踏み込んで立ち止まる
俺の指示により、熊は振り返りつつ、既に完成していた硬化の魔法陣を槍に受け取り、そのまま向き直る勢いで化け物の腹を切り裂いた
腹は爆ぜた柘榴の実のように割れ、そこから魔法は侵食していく
「コカァァ……」
呼吸器が硬直したためか、空気を搾り出すような音がそれの口からもれる
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