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深遠へ向かう TUXEDO
屋敷の地図は、俺も彼女も頭に叩き込んでいる
打ち合わせ通りなら
互いにトイレに入り、そこで魔法陣を解いた後何食わぬ顔でパーティーに参加する
そういう手筈
早めにトイレに行きたい
いままでが完璧でも、まだこの先が不安でしかたない
手にしたぬいぐるみを、少し強く握る
内通者とはパーティー会場で待ち合わせることになっている
テラスから侵入したが
ガヤガヤと、パーティーは派手な格好をした男女であふれかえっている
ぶつからないよう気をつけながら進む
自分の姿は完璧に隠れていると思うのだが、何だか必要以上に緊張してしまう
「まぁ、皆さんお元気ですわね。あたくしったら眠くてたまらなくって」
「そう言いながらさっきからたくさん食べてらっしゃる」
ふふふ、あははと人が笑っている
その度に、この中で一人恐る恐る歩く自分を客観的に想像して
更に身が強張りそうになる
いけない
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