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「ただいまー。」
と、いっても返事してくれるやつは誰もいないけどな。
リビングの雑多を踏み分けて扉を開けると俺の部屋だ。バッグを投げ捨てるとの一緒に暑苦しい制服のブレザーを脱ぎ捨てる。
「暇だねー。」
勿論、返事してくれる人は誰もいない。
毎日こんな感じだし、もうとっくに慣れたよ。
ただ、男女の二人組が楽しそうに手をつないで歩いてるのを見たら、ふと自分の近くにはなんで誰もいないのか考えてしまうときはある。
今がそうだ。
部屋のドアを開けたら無意識につけてしまうパソコンの電源。
デスクトップに映るのはお世辞にもかっこいいとは言い難い男と、その隣に同じくらいの背丈の女だ。
少し高めの木を背景に、二人とも笑っている。
…わかるか、
あの男は俺だ。
その隣の女は俺の元カノだ。
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