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「な、なあ。ここ、どこなんだ?」
「ここ?『カケゴトゴト』のかいじょうだよ」
かいじょう。会場。
会場だと?
「な、なんで……こんな」
「おにいさんも、メール、もらったんでしょ?
初めての人はね、絶対に参加しなきゃいけないんだよ」
「参加って……」
「『カケゴトゴト』に」
『カケゴトゴト』。
馬鹿いうな。あんなもの都市伝説だ。
誘拐とか、そんなんじゃないのか?
俺を誘拐して、なにか利益があるのか?
頭はめまぐるしく動くが、突然のことでうまく働いてはくれなかった。
思考が、怖がっていた。
こんな得体のしれない空間に連れてこられて、何をされるのかわからず、恐怖していた。
「あの……名前は?」
とりあえず、この子供のことを知っておこうと、話しかけた。
子供はきゅっと唇を噛むと、俺の耳に直接話しかけて来た。
こんなひそひそ話なんて小学校以来だ。
耳がくすぐったい。
「あのね。名前、言っちゃだめなんだよ。
言ってもいいけど、あんまりよくないみたいだから、ニックネームをつけたほうがいいんだ」
「は?なんだよそれ」
「とにかくダメなの!だからお兄さんも言っちゃだめだよ」
子供は小声をやめて座りなおした。
そして、自分の胸に手を当てて言った。
「ぼくは『ロビン』」
「『ロビン』?」
「うん。ニコ・ロビン大好きだから。『ロビン』」
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