『レン』さん

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「おにいさんは?」 よくはわからないが、本名は名乗らないほうがいいみたいだ。 こんな所で、小学生の言うことを聞くのも馬鹿馬鹿しいとも思ったが、 今は『ロビン』のいうことを聞いておいたほうがいいかもしれない。 本能的にそう思った。 「俺は…… その……『レン』」 「よろしく。『レン』」 何故『レン』にしたかと言われれば、俺の好きなキャラクターの名前だからだ。適当だ。 「『レン』ははじめてなんだよね。これ」 「まあ……そうだけど。 これが……『カケゴトゴト』だっていうのか?」 「そうだよ」 「んなわけねーだろ。あんなん、ただの噂だ」 そう言い捨てると、『ロビン』が睨んできた。 その目には色がない。怒っているのだ。ものすごく。 「本物だよ。本当にここで『カケゴトゴト』がおこなわれているんだ」 小学生のくせになんて目つきだ。少し気圧されてしまう。 「じゃあ何か?本当に賭けに勝てばなんでも手に入るってか? 馬鹿馬鹿しい」 「なんで馬鹿馬鹿しいなんていうの」 「あのな。なんでも。なんてねえんだよ。 全てのものが金で買えると思ってんのか?」 「『レン』は『カケゴトゴト』をその辺のギャンブルと勘違いしているよ」 鈴のような声は俺の耳によく響く。 子供しにては冷たい声だった。
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