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「なんでも。
なんでも手に入るんだ。願いに見合うものを賭けられるなら。
なんだって手に入るんだよ」
背筋を冷たいものが駆け上がった。『ロビン』に恐怖していたのだ。
でも、同時に、胃のあたりが熱くなった。ムカムカしてくる。
「なんでもなんて、ない。
じゃあ……俺が勝ったら俺の願いを叶えてくれるのか?
どんなに金をつんでも叶わないのに」
『ロビン』に言ったわけではない。独り言だ。
俺は、俺の願いが叶わないことを知っている。
神様はいないとまでは言わない。
神様は世界が平等であるように尽力しているのだから。
幸せな人がいれば、不幸な人だっているんだ。
「叶うよ」
「あ?」
「願いにつりあう賭けるものがあるのなら。
そして、勝てるなら」
『ロビン』のその言葉が合図だったように、
音楽が段々と大きくなった。
そして照明が消えて、好き勝手にしゃべっていた人々は急に静かになる。
耳をふさぎたくなるくらいの音は、突然ぶつりと消え、ステージの照明がつく。
「おっまたせしましたあ!では次の『カケゴトゴト』を開催しまあす!!」
中学生くらいの、ハイテンションな女の子がマイクで呼びかけえている。
発育不良ながら、バニーの恰好をしていて、
なんだか背徳的だった。
「では!ゲートに進んでくっだっさーい!!」
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