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人の波を逆らって、さっきのソファーのところにもどる。
なんなんだ。なんなんだ。これは。
蟻の行列みたいなそれをみていると、均質なその列がなんだかすごく気持ち悪かった。
「なんだよ……なんなんだよ……」
「あーのお!」
バニーが大きな声で俺に話しかける。
「『レン』さん。
あなた、まだ送ってませんよね?早くしてくださいよ!
この部屋、閉めちゃいますよ!」
「知るかよ!勝手に連れてきておいて……」
なんで、俺が『レン』って名乗ったこと知ってるんだ。
「メールにありましたよね!
一回目は強制参加だって。
なぜかわかりますか?
普通だったら、怪しんで参加してくれないからですよ!」
バニーは勝手に俺の鞄から、携帯電話を取り出して、メールの画面を開く。
「『カケゴトゴト』。
とりあえずやらないと帰れませんよ?」
「……なんなんだよお前ら。
人を誘拐しておいて」
「なんでもいいから賭けてください。
『明日の晩御飯がクリームコロッケになりますように』とかでもいいんですから。
ほら。早く。
閉めちゃいますよ?ここ」
人の波はどんどん少なくなっていく。
それに伴い、照明も落ちていく。
だから、じわじわと室内が暗くなる。「……おい。参加しなかったらどうなるんだよ」
「さああ?わかりませんね。参加しなかった人なんていませんからあ。
だから、早く送って送って!」
小馬鹿にした笑い。
携帯電話を投げられる。
返信メールの画面になっていて、テンプレートができていた。
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なまえ:レン
ほしいもの:
かけるもの:
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