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「あ、いや、別にそういうことじゃ……。
ほらっ! 俺ってランクZだよ? 学園なんて行ってバレたりしたら大変でしょ」
「バレないようにすれば平気よ。
……確かに、あなたは学園で学ぶことなんて何もないでしょうね、魔法に関しては。
でもね、学園で学べるのは魔法だけじゃない。もっと大切なことを学んでほしいのよ。
年相応の生活を、あなたにも送ってほしいの」
ディーナは、温く優しい笑みをロゼへと向けた。
無論、ロゼがその表情に抗えるはずもなく……。
「……わかったよ。他ならない母さんの依頼だからね。
受けるよ、その任務。
……ところで、その魔法学園に通うのはいつから?」
「え? えーっとぉ……」
途端、ディーナはロゼから目を逸らし、視線を泳がせ始める。
何かまずいことをやらかした時の、ディーナの癖だ。
「母さん? もしかして、明日からなんて言わないよね……?」
「す、すっごーい!
どうして分かったの? やっぱりロゼは天才ね! 私の自慢の息子だわ!」
「母さん……、誉めても無駄だよ。
……どうして母さんはいつもそう考えなしなんだよ!
明日から学園に通うなんて、いくら何でも急すぎだよ! 今何時だと思ってるんだよ、夜の八時すぎなんだよ!?
今から支度するにしても、お店だって閉まってるし!」
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