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ロゼはテーブルを叩きながら勢いよく立ち上がった。
「も~! そんなに怒鳴らなくたっていいじゃない! ロゼのバカ!」
「バカって……。バカは母さんの方だろ!」
「母さんに向かってバカって何よ!
仕方ないじゃない! ヴァイマァールを出発するのが一日遅れちゃったんだから!」
「遅れた? よく言うよ!
遅れた原因は、母さんがヴァイマァール支部の人たちと朝まで飲み明かして、二日酔いになったからだろ!」
「うぅ~! うるさいわよ、ロゼ!
男がね! 終わったことをグチグチ言うもんじゃないわ!
とにかく! ロゼは明日からレスティード魔法学園に通うこと! いいわね!?」
そんな無茶苦茶な、というロゼの悲痛な呟きはどこ吹く風で、ディーナは呑気に紅茶の用意をし始めた。
そんなディーナを見て、ロゼは長い長い溜め息をつくと、諦めたようにソファに腰を下ろした。
「まぁ、母さんの無茶、無理、無軌道ぶりは今回が初めてじゃないし、いろいろ言っても後の祭りだよね」
「あら、よくわかってるじゃない。
そうそう、男は諦めも肝心よ~」
ロゼは、皮肉をたっぷり利かして言ったつもりだったのだが、ディーナは見事にスルー。
そのことによって、ロゼはもう本当に諦めるしかないなと思い、ソファに倒れこんだ。
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