プロローグ

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「さぁ! それでは宴の準備だ! 我がエスペランザ王国の時期国王、ロゼルクスの誕生祝いだ! ベルモンド、ただちに皆を集めて準備に取りかかってくれ!」 「かしこまりました。ゼルス様」 ベルモンドは、深く頭を下げると、すぐさま部屋から出ていった。 部屋には、ゼルスとリズ、そしてロゼルクスだけとなった。 「あの……、あなた? 一つ、気になることがあるのですけど……」 突然、リズが悲しげな、どこか不安げな表情で話しかけてきた。 「どうした、リズ? 何かあったのか?」 「実はこの子……、 魔力が感じられないの……」 「バカな! 私とリズの子だぞ! 魔力が感じられないなどと、そんなバカなことがあるか!」 ゼルスは目を見開き、ロゼルクスを見つめた。 先ほどまでは、子どもが生まれた興奮で気付かなかったが、確かにロゼルクスからは、魔力が感じられない。 魔力は、血統が物をいうものだ。 魔力の高い者同士の子は、当然魔力が高くなる。 そして貴族……、引いては王族などは、当然昔から魔力の高い者同士で血を残してきた。 だから、王族や貴族の子は皆、平民よりも高い魔力を持って生まれてくるのが普通なのだ。
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