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「一体何なのですか? 覚醒型とは?」
「魔力には二つの型があるのです。
生まれてすぐ発現する潜在型。これが一般ですが、
中には覚醒型と呼ばれる非常に稀なものがあるのです。
覚醒型の場合は、生まれてすぐには魔力が少なくないのですが、生後5、6年経つと、爆発的に魔力が備わるのです。
歴史に名を残すほどの魔法使いは、皆、この覚醒型であると言われておりますな」
「では、ロゼルクスもその覚醒型だと?」
リズは、恐る恐る尋ねた。
「ゼルス様とリズベット様の子息ならば、その可能性は大いにあるでしょうな」
途端、リズの表情は輝いた。
笑顔でゼルスへと顔を向ける。
その目に、もう涙はなかった。
「あなた!」
「……わかった。
この子の処遇については、6歳まで保留にしよう」
「えぇ。大丈夫ですわ……。
私と、あなたの息子だもの。きっと素晴らしい魔法使いになってくれますわ」
リズは、不安を拭うように、そしてたった今生まれた希望を噛みしめるように、きつくロゼルクスを抱きしめた。
それから十数年後、
物語は動き出す。
いや、この時からすでに、運命の歯車は廻り出していたのかもしれない。
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