第2章 「乱れ始める流星の心」

12/12
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
迎えた放課後。 恭介が流星のバッグを持って再び保健室へとやって来た。 「流星、バッグ持ってき・・・」 恭介は思わず驚いてしまった。流星の横に招かれざる人物が居たからだ。 「お、おい美桜、そんなところで何してんだよ」 「あら恭介。何って流星の様子を見にきたんだよ? 変なこと聞かないでよね~」 これはヤバいなぁ~、恭介がそんな風に思っていると、流星が彼に手招きをした。近寄ってみると、流星は恭介に小さなメモを美桜にバレないようにそっと渡した。恭介は少し離れた場所でそのメモを開くと、中にはこんな事が書かれていた。 『美桜が来ちゃったから、僕がうまく美桜に帰ってもらうようにするから、教室で待ってて』 メモを読み終え顔を上げると、流星が小さく頷いて左手の親指を立てた。恭介はひとまずこの場を流星に任せる事にして、流星のバッグを彼の足元に置いて、あたかも帰るように保健室を出て教室へ向かった。それを確認した流星も自らの作戦を実行に移した。 「あっ!! 教室に忘れ物しちゃったみたい。美桜、今日は僕一人で帰るから、先に帰ってて」 「忘れ物なら私が取って来てあげるよ。何忘れたの?」 「ううん。それを取ってから、職員室で先生に顔出ししたいから、時間もかかっちゃうし・・・」 「そう・・・? じゃあ気をつけて帰ってきてね」 そう言って、美桜はバッグを持って保健室を出ていった。 (よし、作戦成功だ。早く教室に行って恭介と合流しなくちゃ!!) 流星はベッドから起きて保健室の先生にお礼を言うと、バッグを持って保健室を飛び出した。その足で職員室に寄って、先生にちょこっと顔出しをしてから、流星は恭介の待つ教室へ駆けていった。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!