Ⅲ,一夜

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「何言ってんだぁ?急に。 親も心配してんじゃねーの?」 「するわけないじゃん。 向こうにはね、私を受け入れてくれる人なんていないんだ。 そんな中生きてたら、壊れちゃうよ。」 「まだ若ぇーんだ。諦めるには早過ぎるぜ?」 「私、高杉の気持ちがわかるの。神威の気持ちも。」 「!!」 「なんで神威知ってるネ!?」 「私がいた世界では、あなた達の漫画があった。私は大好きだった。だから知ってる。全部、全部。」 「俺の…過去も…」 「知ってる。銀ちゃんの過去。だからこそ、憧れる。私にとって、あなたは、松陽先生のような存在なの!!」 「っ!」 「高杉の狂った生き方も、神威の歪んだ考えも、共感できる。 だけど、銀ちゃんの考えがわからないの。」 なぜ、恩師を奪った世界で、生きてゆける? (先生を奪ったこの世界を享受し、のうのうと生きていける! 俺ぁそいつが腹だたしくてならねぇ!) (欲しいものなどない。振り返ることなどない。前しか見えない。) _
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