第一章

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 簡単に纏めるとこんなところだ。  朝から不良に絡まれた。  萩野は普通の高校に通う学生だ。  もちろん一般人の彼に、漫画やアニメのような特殊能力は備わっていない。  そのため不良たちには、されるがままになってしまったのだ。 「痛かったな、アレ」  萩野の不幸は、それだけでは終わらない。いつも時間ギリギリに登校している萩野は、朝から不良に絡まれ遅刻してしまった。  だがしかし、遅れたことに対して教師から何も言われなかったのだ。  不思議に思う萩野。  よくわからないけど今日の俺ラッキーと心の中で喜びの舞を披露していると。  待ちに待った放課後に呼び出しを食らったのである。  しかも、床に正座とかいう、いらんオプション付きで。 「今日は厄日かよ……もういいや。帰って寝るか」  萩野はため息をついて呟く。  どうせ今日はついていないのだ。遅くまで起きていて損することがあっても特することはないだろう。  それに萩野は毎日勉強するような真面目な子ではないし、今日は面白そうなテレビ番組もない。  課題は山のようにあるが、そんなのどうでもいい。全て一日前に終わらせてしまえばいいのだ。
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