第一章

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 終わりよければ全て良し。日本には、ことわざという素晴らしい文化があるのだ。使わない手はないだろう。  と、毎回未提出で怒られている彼は逃げるようにコンビニから目を反らし、自宅を目指す。  夕焼けで照らされた帰り道は、なぜか昔を思い出させる。  萩野はこの道を何度も通ってきた。  好きな女の子に振られたとき。  友達とお菓子の取り合いで喧嘩したとき。  そして、靴に画ビョウが入っていたときもだ。  だからこそ分かる。  萩野の前に立っているいる人物が本来いるべき場所ではないと。 「待ってたよ萩野祐希。クヒッ」  不健康なほど白い肌に丸いビン底眼鏡。  歳は20代前半だろうか? 長く伸びだ金髪はゴムで一つに纏めてあるが、清潔感はない。  男の一番目立っている所といえば着用している白衣だろう。夕日のが反射されて目がチカチカする。  さらに白衣のお兄さんはなぜか襟を立てていて、 「……えっと」 すごく怪しい。カッコイイとでも思っているのだろうか。  気になるとこはそこだけじゃない。このお兄さんは初対面にも関わらず、萩野の名前をフルネームで呼んだのだ。
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