小賢しいやり方じゃあ

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小賢しいやり方じゃあ

「大変だビバルディ!」  放課後、教室の扉を勢いよく開けて、キョウスケが僕の元にドスドス駆けて来る。体が大きなキョウスケはうっすら汗をかいている。 「キョウスケどうしたんだそんな焦って。まるでいつかのナオスケ・ドラミング事件の時みたいだ」  僕――岡本ビバルディはハハハと笑ってみせる。 「ああ、直介あのあとスカウトされたよね。……じゃなくて、ビバルディ、カバディって知ってるかい?」  知ってるかい? その言葉が聞こえた瞬間、僕の脳内メモリからヒュイインと『カバディ』についての情報が引き出される。 「カバディ。チーム競技。1チーム10~12人。そのうちから7人を選出。10×13mのコート内にて2チームで競技を行う。攻撃側は一人の攻撃者――レイダーを選出。守備側はそのまま7人――アンティが参加。レイダーはキャントと呼ばれる『カバディカバディ』と息をつかずに連呼する行為をしながら、コート内にてアンティの体にタッチし、自陣コートに帰って来られたら、タッチした人数×1点を獲得できる。守備側は相手を拘束する等でレイダーが自分のコートに帰るのを阻止したら1点が追加される」 「そう、チーム制で相手をカバディカバディ言って触る競技だよ」  良いはしょりをするじゃないかキョウスケ。
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