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――――――
翌日、県立体育館。今回の戦いの舞台だ。
「負ける気がしないよキョウスケ」
「なんでそんな元気なんだよビバルディ」
僕は体育館を見上げる。キョウスケはふひふひ言って、足元に水溜まりを作っている。
僕達は話をした放課後からついさっきまで、夜通し学校近くの公園で、血がにじむような特訓をしていた。実際は擦り傷、打撲、血だらけの特訓だ。
「行こうか」
「ふ」
呼吸を返事がわりにしたキョウスケを引き連れて入口をくぐる。
靴を脱いで、室内用のバンドがついたゴムサンダルを履く。
「あれ、ガキが居るぜ?」
「ボフフ!」
そう声が聞こえて顔を上げると、タヌキみたいな大男と、ワセリンを塗りたくったように顔がヌメヌメしてるキョウスケ以上の肉厚な男がいた。ニヤニヤニヤニヤ気持ち悪いぞ。
「……何か用デスカ?」
僕は片言っぽく柔らかく返す。因みに僕自身は黒髪の日本人だ。目だけは青いが。するとタヌキが含み笑いをしながら口を開く。
「いやよー。これはカバディじゃない。ビバルディだぜ? お前みたいなチビガキが戦えると思ってるのかよ。後ろのでっかいのはまだマシだとして」
「……戦えるよ。あっという間にのしてあげるよ。あとキョウスケは戦力外だからね」
タヌキと僕は試合前から火花を散らす。
キョウスケと肉厚な男も、たらたらテラテラと睨み合う。
「ボフ!」
「ふ」
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