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午前9時、簡素な開会式の後に『第一回ビバルディ大会inジャパン』が始まった。あ、世界規模なんだ。
トーナメント方式のこの大会。試合が近づくにつれ、緊張が高まってくる。
「ルールはバッチリかい?」
「もちろんさキョウスケ」
コートの上では既に他のチームが試合をしている。
チームは二人一組。コートは12×12mの正方形マットで、それより外はマットの色が変わっている。柔道のみたいなもんだ。
「ブフゥー!」
さっき話をした肉厚な男が、対戦相手の男を吹き飛ばした。そのまま男は背中からマットに沈んだ。その瞬間、肉厚な男は勝利の雄叫びを響かせた。
「ビバルディー!!」
ピィーと鳴り響いた笛の音。少ない観客達が歓声をあげた。コートに立つタヌキと肉厚な男が声援に応えて手を大きく振る。
相手の背中を地面につける。
または相手の背中にタッチする。
もしくは場外に押し出す。
相手を倒した瞬間に、元気良く『ビバルディ』と叫ぶ。
こうして先に相手チームを2人倒す。これがこのゲームの勝利条件だ。
「相手を倒してないのにコールしたら、ミスコールでそのチームは失格になるから気をつけてね」
僕にそう教えると、キョウスケはジャージの袖で額の汗を拭く。無駄に厳しいルールだと思った。
「ふう。よし、僕達の番だよ。頑張ろうね! キョバルスデイー、ファイ、オー!」
キョバルスデイはチーム名らしい。頼むから変えさせてくれ。
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