小賢しいやり方じゃあ

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「第一回ビバルディ大会! とうとう決勝戦です!」  司会の声で、僕達とタヌキ・肉厚な男チームはマットに近づく。 「制限時間は無し! とにかく止めを刺すんだぜ! さあ、両チームはコートの中へ」 「よし」  コートに入ると、僕は屈伸をして、少し冷えた体をほぐす。 「キョウスケ。“例の作戦”」 「分かってるよ」  キョウスケは僕の声に頷いて答える。なんとか息は整っているようだ。  そして、二人と二人が向かい合った。 「ビバルディ大会決勝戦!レディー……プァイ!」  あ、噛んだ。 「肉厚な男! お前はでっかい方だ。俺はチビをやる!」  タヌキが指示を飛ばして突っ込んでくる。 「キョウスケ、散るよ!」 「合点了解」  僕は回れ右をして、キョウスケから距離を置く為に走る。案の定、タヌキも方向転換して僕に向かってきた。 「頼んだぞキョウスケ!」  僕は十分距離を取れたとみると、コート端でステップ、タヌキと向き合う。対角線上の位置で、キョウスケと肉厚な男は戦いを始めていた。
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