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「さぁ、一対一だね」
僕は、さっきの出来事が信じられずにいる肉厚な男と対峙した。――――しかしさっきタヌキが言った通り、もう結果は見えている。
「優勝は、キョバルスデイ!」
――――――
帰り道。とっくにお昼は過ぎて、2時近くなってしまった。
優勝して貰えたのは結局賞状と蛍光ペン7色セット。きっと世界どころか、日本でももうやらないだろう。そんな気がする。
「ありがとうビバルディ」
横を歩くキョウスケが話しかけてきた。運動+午後の陽射しは、彼の天敵だ。キョウスケ、汗の量が酷い。
「ありがとうって。まぁ楽しかったから良いよ」
「流石ビバルディ」
「……そういやさ、何でこの大会に出ようと思ったんだ?」
僕はキョウスケに尋ねる。
「いやさ……、パパがね、僕に運動して、努力して、なんでも良いから賞状持って来いって。そしたら近いうちに夜中華行こうって」
…………成る程。つまり僕はキョウスケ一家の優雅なディナーの為に利用されたわけだ。
大体頑張ったのって、運動したのって、僕ばっかだったじゃん。
「頑張ったからお腹空いたね。優勝パーティーとして焼肉食べ行こうよ」
「却下」
キョウスケの賞状を引き裂いて、間髪入れずに僕は友人を置いて走り出した。
後ろから悲鳴?
知るか!!
おしまい
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