第1話 表裏一体

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 雨はやまない。 どちらかといえば強まってないか?風も強いし。  あ、これはビル風か。  車の通りが多い大通りをさけ路地を歩く。  水たまりさえ気をつければ路地は水を跳ねられないし天国だ。  ついでに路地で野良猫に餌をあげるのが俺の趣味だ。 そのためにバックには必ず煮干しが入っている。 あ、湿ってなきゃいいなぁ……煮干し。 『…ォ…ォン…』  何か音はしたが気にはならない。 工場も多いしあれぐらいの音は日常的。 というより雨や車の音で気になることはまずない。  音がしてすぐ強めの風が斜め上から来るのが確認できた。  傘が持ってかれるかと思った。 「ビル風……?か?」  今日は風も強いようだ。体重の軽い俺は風も強敵だ。 『ドッガサガサガサガシャンドカン……』  表現し難いような大きな音が近くでした。 これは気づく気づかないではない。  今まさに視界で起きたことだからだ。
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