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今日はTシャツにジーンズ姿の谷本は、昨日とは雰囲気が全然違う。
服装が違うだけではなくて、昨日は殺し屋としての気迫のようなものを感じとる事が出来た。
すると、谷本は高架下付近に差し掛かると、急に走り始めた。
一つ目の角を曲がると、俺からはまったく姿が見えなくなっている。
マズイ!気付かれたか!?
俺は慌てて谷本を追った。これを逃せば、次会えるかどうか分からなくなる。
ましてや、殺し屋に狙われていると谷本が気付けば、奴は殺し屋のシステムを知っている分、依頼の期限内は逃げ続ける方法をとるだろう。
俺は谷本が曲がった角を曲がろうとした時に、ナイフが俺の顔目掛けて襲ってきた。
俺は危機一髪でかわす事が出来たが、少しかすったのか右頬から少量の血が流れた。
「誰かと思えばお前か。立場が逆転したみたいだな」
俺に逃げたと思わせ、隠れて返り討ちにするつもりだったようだ。
「ああ。だが、俺はお前を殺すつもりは無い。気絶させて記録員に引き渡すつもりだ」
「アッハッハッハッハ。お前本気で言ってんのか?腰抜けにも程があるな」
谷本は手を叩きながら笑っている。確かに殺し屋のくせに殺さないってのは矛盾している。
だけど、俺は俺のやり方で金を稼ぐ。
俺は、いつもの喧嘩スタイルに構え谷本をじっと見た。
谷本は笑うのを止めると襲い掛かってきた。
今度はナイフを袈裟に振った。こいつは俺を殺す気マンマンのようだな。
俺はバックステップで避けるとナイフを持った手を蹴り上げた。
「ッつぅ!!」
谷本は痛みでナイフを手放し顔が歪んだが、すぐに左手で拾い直し再び攻撃を加えてきた。
「うがぁぁああぁ!!」
谷本はナイフを乱雑に振り回しているだけだ。
こんなに簡単に冷静さを失うのを見るとブロンズクラスなのも頷ける。
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