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俺はJの後を歩いて建物の中に入って行った。建物の中は特に変わった様子はない。
俺が立ち止まっているとJが俺を呼ぶ声がした。
Jは関係者以外立ち入り禁止のロープがある前に立っている。
「立花様、コチラでございます」
Jは、立ち入り禁止のロープを跨ぎ、その先にある階段を下りていった。
その後に続き、俺もロープを跨いで階段を下りた。
その階段の一番下にJと向き合っている鉄の扉があった。俺がJの横まで来るとポケットから鍵を取り出した。
それを鉄の扉に差し込むと、ガチャッと音を立てギギギギギと鉄の扉特有の鈍い音を立て扉は開いた。
「どうぞ。更に階段を下りて頂いて、この先にある突き当たりの扉を開けて入って下さい」
中を覗くと必要最低限の明かりだけが灯され、地下のせいか中の空気はヒヤッとしている。
少し戸惑っているとJは俺の背中を押し、中へ押し込むと扉を閉めてしまった。
「行ってらっしゃいませ」
振り返ると扉が閉まる寸前に、Jの仮面の目の部分から鋭い眼差しが俺を見ていた。
俺は意を決して階段を下りていった。今さら後悔しても遅いが何故こんな事になったのか不思議と分からなくなってしまった。
薄暗い地下には不安を煽るような感覚がある。
照明も蝋燭のように弱々しく足元を照らしているだけだ。
感覚で二階分ほど、下りた所で目の前にさっきと同じような鉄の扉があった。
俺はドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開けた。
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