“殺し屋への道”

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だいたい聞きたい事は聞けたな。あと聞いていないのは……。 「依頼はターゲットを殺した時点で達成なのか?それとも、何か証拠をここまで持ってくるとか」 「ターゲットを殺した時点で達成です。常に記録係が殺しの一部始終を見守りますので、証拠などは不要です。つまり、失敗の場合は言い逃れは出来ませんのでご了承下さい」 一部始終を見られるのか…。それはそれで複雑だな。 「追記ですが、ターゲットは殺さなくても達成とみなされる場合があります」 俺は今の女性の言葉に今日一番の興味が沸いた。殺さずに済むならその方がいいに決まっている。 「その達成方法は?」 俺はあくまで冷静に質問した。本当なら女性の体を揺すってでも早く聞きたかったが、周りには他の殺し屋がいる。 ここで舐められたら仕事に影響が出そうだ。 「それは、生きたまま指定の場所まで連れて行く事です。しかし、この場合は報酬とポイントは半分になります」 何となくだが、予想はできた。俺と似たような考えを持った殺し屋はいるはずだ。多少のリスクを負ってでも殺さずに済む方法を選ぶ人間用に出来たルールだな。 「説明はこのくらいでいい。随時、分からない事があればJにでも聞くよ」 俺の言葉を聞き、女性は目の前の資料を揃えてファイルの中へ片付けている。すると、別の紙が出てきた。 「では、最後に契約書です。名前を書きハンコをお願いします」 俺は立花蓮次と書き人差し指を朱肉につけ、契約書に押した。
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