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これでもう後には退けない。自分の意思で退路は断った。
「これで、終わりか?」
「はい!本日はお疲れ様でした!では、次回からこのカードを持って受付へお越し下さい」
俺は渡されたカードの表と裏を交互に見た。
表は灰色の無地で、裏には立花蓮次と書かれていて会員ナンバーのような数字が書かれていた。
「身分証明みたいな物か?」
「はい!再発行には時間がかかるので、絶対に無くさないで下さいね」
俺は、分かった。と言うと椅子から立ち上がり、個室から退室し出口に向かう。
カードは無くさないように歩きながら財布に入れた。
そして、来た時と同じように視線を浴びながら相談所を出た。
上り始めた階段は薄暗く、出口はまだ見えない。
まるで、これから先の俺の人生のように思えて仕方なかった。
だが、それも悪くない。
真っ暗なら光を探せばいい。俺には光のある場所に友が待っている。
帰るって約束したんだからな。
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