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いくら無愛想な高科でも、あゆみのような美人に好意をもたれて、迷惑なはずもない。
私なんかが出すコーヒーの倍は美味しく感じるはずだ。
パソコンの画面に写し出された物件情報とにらめっこしながら、頼まれた資料のコピーをする。
シュッシュッという規則的な音を聞きながら、新規広告のレイアウトを考えていた。
「佐伯さん。」
後ろから声をかけられる。
「はい?」
午前中はもう作業を増やすのはキツイなぁと思いながら振り返ると、そこには高科が立っていた。
「な、なんでしょう?」
「昨日頼んでおいた営業報告書なんだけど、今日中に仕上げてもらえるかな。一度目を通して本部に送るから。」
「ああ、営業報告書なら昨日まとめて高科主任のデスクの上にファイリングしてあります。お伝えするのが遅くなって申し訳ありません。」
高科に言いつけられた仕事は極力優先的に終わらせるようにしている。
営業で外回りが多い高科にデスクワークはさせられない。
なんといっても部署のエースなわけで、彼の仕事が滞るのは死活問題だ。
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