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純真な妹を尻目に姉はなおも続ける。
「ただ、相手を殴り傷付ける只の握り拳には愛はありません。しかし力の入らないともだちパンチには愛があるのです!」
「ああ、なんとわんだふる!こんな素晴らしい物を教えて下さりありがとうございます!」
感動している妹の前で。姉は、密かにニヤリと笑った。
「ところでまいしすたー。昨日貴女が楽しみにしていたプリンが次元の彼方に消えるのを見たと言いましたが、アレは嘘です。私がやりました。」
「なんと!姉様が次元の彼方に送ったのですか!?」
妹は、滅多に居ないくらい、純真だった。
「……貴女の将来が不安になってきました。違います、私が食べたと言うことです。」
その時、妹に電流走る――!
「―――!楽しみにしてたのに!これはお父様に叱って貰わなければいけません!」
猛る妹を宥めるように手をつきだして、姉は一言。
「怒ってはなりません妹よ!貴女には今!愛によって解決する手段があるでしょう!?」
「――!ともだちパンチ!ともだちパンチですね姉様!」
「その通り!さあ、実践です!今こそ、姉と言う世間の荒波を愛によって宥めてみなさい!」
「姉様をぶつのは心苦しいですが……しかし、わざわざ償う為に姉様が教授してくださった技……やりましょう!プリンの仇、ともだちパンチでとらせて貰います!」
妹は親指をくるむような握り拳を作ると姉に殴りかかった。
(しめしめ、これでお父様から怒られずに済むし、私の罪悪感も多少は打ち消せるというもの。)
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