プロローグ。これなに? ドS女? いいえ、これがヒロインです

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 都会とは何故こんなにも大勢人がいるのだろうか。  単なる四角い箱が十両連なっただけの人間運搬車に、人一倍働き者のお目覚めだからこそ心地良い光が降り注ぐ時間に軍隊アリに似たそれらは乗り込みおしくら饅頭を始める。  それは毎日、毎週誰も望まないのに開催され若年層とその他の肉体的社会的弱者を痛め付ける。  それでも改札口をくぐり若年層代表の俺も小学生も肉体的社会的弱者の杖をついた婆ちゃんも参加せざるを得ないのが現実。  どうしてプラットホームに立つのだろうか。仕事だから? 学校だから? 通院しないとイケないから?  人間だから?  鼻声のアナウンスが聞こえ皆が黄色い線よりも内側に同じ動作で下がる。  さすが軍隊アリだ。規律が取れ誰も列を乱そうとはせずに、見慣れた光沢のある箱が規定通りの場所で止まり口を開くのを待ち既に準決勝を迎え白熱した箱内へと躊躇う事無く飛び入り参加した。  何故? 何故? って頭の中でアインシュタインの足元にも及ばない俺が思考している。  何故俺はこのむさ苦しい箱の中にいる? 何故俺は満員電車に揺られしかも前方から鋭角なピンヒールにローファーのつま先を襲撃されている。  何故俺は俺なんだ。どうしてドSビジネスウーマンじゃないんだ。その隣ので両手を上げ痴漢の冤罪を被らない様に必死のサラリーマンじゃないんだ。
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