18人が本棚に入れています
本棚に追加
『虹、来ていたのか』
「セルティ久し振り~」
黒いスーツの左そでだけがごっそりとなくなっている奇妙な服装
肌を覆う真っ白な包帯
かろうじて形を保っていると言った様子の左腕に、ないはずの眉根が寄った気がした
「あ、これ?うっかりプレスしちゃったの」
『私が言えた義理じゃないが、体は大事にしろよ?』
にっこりと笑ってうなずく虹
「うっかりで左腕潰してたら世話ないね、粉骨砕身と働くのはいいけど、本当に肉や骨粉々にしちゃだめだよ、虹」
『新羅、居たのか』
「お帰りセルティ」
「新羅、何か上着貸してくれない?」
「もう行くのかい?」
『もっと休んでいったらどうだ』
「そうしたいのは山々なんだけど、まだお仕事残ってるから行かなきゃ」
立ち上がった虹
本当に粉々になっているらしい
だらりと垂れ下がった左腕
『その腕で、どうするつもりだ』
「喧嘩しにいくんじゃないよ。報告」
『送る』
「臨也んとこだよ?」
『…………』
思わず沈黙を打ち込んだ
「依頼人じゃなくて仲介者が臨也なんだよ」
『……依頼人は誰なんだ?果てしなく嫌な予感しかしないんだがな、私は』
「守秘義務によりノーコメントでお願い致します」
大袈裟な仕草で恭しく頭を下げる
「そう言えば臨也の奴、元気なの?」
「昨日シズちゃんと喧嘩してたよ~」
『あぁ、真っ昼間から自販機が飛んでると思ったら臨也か』
思わずそう打ち込む
「あいつバカだから」
クスクスと笑う虹に、影で作った上着とヘルメットを渡す
『行こう。臨也が心配してるぞ』
「うん、メール来てた」
…本当にこの二人の関係はよく解らない
*
最初のコメントを投稿しよう!