Ⅳ,火中

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「入江サン、なんスか、この物騒な書類」 『むしろこっちが聞きたいくらいだよ、喜助』 虹が新羅の元で治療を受けている最中 入江慎悟は浦原喜助と密談を交わしていた 「これ…ようするに虹サンを殺して良いかって聞いてるようなもんじゃないッスか」 『手はなんとか打てたけど……やっぱり後ろ楯がないときついよ』 「……入江サン」 『喜助、もう無理だ』 強い口調 『虹を組織に所属させる。もう手は打ってある。情報屋に協力も頼んだ。後戻りはもう出来ないよ。喜助』 「あの子は、組織の中じゃ息ができないッス」 『喜助、彼女を失う訳にはいかないんだよ。解るだろう。君なら』 「入江サン……」 『もう無理なんだよ』 入江の声に宿るのは絶望 『虹が消えれば、五台家も消える。それは、それだけは、絶対に避けなければならないんだ』 わかってくれ 「……解ったッス」 こうして、 彼女の知らない所で、 陰謀の幕が開かれる 彼女を中心として、 彼女の一番近くで笑う男を巻き込んで 彼女の望まぬ混沌が 幕を開けた それを彼女が知るのは 恐らく総てが終わってからだろう 或いは、 誰かが裏切った時かもしれない Fin.
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