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「………ナイフでもダウンロードすれば?」
三弦がそんな提案をする。
「いや、今更ナイフをダウンロードしてもどうせ使いこなせないだろうし……」
「そうだな。俺も一点強化で銃を使っての近距離戦をマスターするしかないと思うぞ」
四士緒は銃の扱いは異常に上手いからなぁ。
遠距離だったら絶対負けないのに。
「ふぁ、てか眠いな。とっとと帰ろうぜ」
何時の間にか周りは暗くなり、街灯がぽつぽつとつき始めていた。
「そうだな。俺も今日は疲れた」
「明日の一限なんだっけ?」
「………化学」
「うぇ、僕苦手なんだよなぁ化学」
「「「お前に得意科目無いだろ」」」
「なんだと!?」
そんなたわいもない会話をしていると、前から誰かが走って来た。
暗くなった夜道で、ちょうど街灯も少ない所だったので顔がわからない。
だがシルエット的にあれは女性だろう。
「あれって富士宮学園の制服………か?」
「そうっぽいけど……」
富士宮学園とは全国でも有名な私立高校で、勉強、スポーツそしてルートでもトップレベルである。
確かに近所にある高校だが……
「………何故向こうから?」
三弦の言うとおりだ。
富士宮学園は俺たちがいる側、つまり彼女は学園に向かって走っているのだ。
下校時間だってとっくに過ぎているだろうに。
そんなことを考えていると彼女は俺たちの前まで来ていた。
そしてこちらに気付いていないかのように走るペースを落とさず通り過ぎていく。
刹那
俺は彼女の顔、栗色のポニーテールを見た瞬間身体に電撃が走ったような気がした。
「………茅?」
それは俺の幼なじみだった。
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