よんー

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そして、どこに行ったかというと決まっているだろう。 私の家のベランダである。 何年も動かしてない荷物とカーテンを動かすと すごい量の埃が舞い上がり、 見てはいけないものが幾つも見えた。 が、 気にしてはいけない。 虫の死骸とか… 私は見てない。 それに比べたらベランダは綺麗なものだった。 殺風景ではなく、綺麗だったと形容する。 間違えることは許さない。 さて、ここからは想像がつくだろう。 私は泥棒さんの真似をして、 辺銀宅のベランダに入る。 もう、 私は犯罪なんて気にしている場合ではなかった。 私の小説家運命、 そして栖関さんが握る私の命が、 辺銀に許可を貰えるかどうかにかかっているのだ。 雅記はケチだから許可を出してはくれなかった。 最悪、 辺銀に謝ったという事実を手に入れ雅記に許可をもらうが、 さすがにここまできたなら本人から許可を貰いたい。 辺銀の家には家具が少なく、 折りたたまれたちゃぶ台とベットがカーテンのない窓から確認することが出来た。 部屋の中央には丸く黒い塊が。 少し前にみた。 虫どもを思い出してしまいそう。 窓の鍵は開いていた。 これには理由がある。 私が合鍵をなくした時様に開けていたのだ。 辺銀は小さい鍵なんて認識することが出来ないから、 気づかれたこともない。 勢いよく窓を開け、部屋の中央の黒い塊を凝視する。 それは、布団にくるまった辺銀だった。
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