よんー

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辺銀は静かに部屋の中央に座っていた。 布団をすっぽりかぶって。 「なんか、いろいろツッコみたい。」 辺銀はその声でようやく私に反応した。 但し目だけ。 別に、 目以外で私を全力で無視しているというわけではない。 ただ単に、布団から目しか出ていないだけだ。 彼が私を見た目には… 何も映っていなかった。 しかしそれも一瞬。 次の瞬間には驚嘆の色が浮かび、 畏怖が浮かび、 そして迷いが瞳を占拠した。 さて、 何故私が彼の瞳の表情を知ることが出来たのか。 それはあまりにも簡単な言葉で説明することが出来る。 辺銀はメガネをしていなかった。 「おう。」 その挨拶に対する答えは無。 寝起きの辺銀でさえ返事をしてくれたのに。 寂しい。 目線の先は中をとらえたまま私には向かない。 そこで、 ふと私は気づいた。 辺銀の顔色はこの薄暗い中でもはっきりとわかるほどに白い。 死人のように白い。 辺の布団の横には、水の入ったボトル。 そして塩。 そんな、マンガみたいなことが… 「ねぇ、もしかして、君これで命つないでる?」 辺銀の瞳がかすかに揺れる。 そんなマンガみたいなことがあったー! 「え、いや、辺銀。君死んじゃうよ?これでどれくらい生き延びてるの?まさか一か月とかは無理だよね…?」 辺銀の部屋は私が最後に来たとき同様、生活臭がしない。 「いやいやいやいや。辺銀。今何か作ってくるから待ってろよ。」 辺銀のすぐそばまで来ていた私は、 私と思えないくらい俊敏な動きで部屋に戻ろうとしたかが、 「   」 辺銀の口から何かが漏れた音がした。 え? 何が出た音? 魂でた? 死んだ? 辺銀死んだ? 私がご飯持ってこなかったせいで…? 恐る恐る振り返るとそこに変わらず辺銀はいた。 のは間違いで、 一か所変わっている。 辺銀の目がまっすぐ私を捉えてる。
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